微分積分キャンパス・ゼミ
概要
本
かかった時間
25.7 時間
感想
数列と関数の極限からはじまって、2 変数関数の微分と積分までやった
接平面の方程式、重積分、曲面の面積出したり、これまでできなかった計算ができるようになった
ロピタルの定理、テーラー展開とても便利
高校数学意外とすぐに思い出せた。昔のを思い出しつつ、新しい計算もできるようになったので自分には丁度いい難易度だった
読書メモ
1: 数列と関数の極限
1.1: 数列の極限と ε- N 論法
開区間と閉区間
a <= x <= b のとき、これを閉区間と呼び、[a, b] で表す
a < x < b のとき、これを開区間と呼び、(a, b) で表す
ε- N 論法
正の数 ε をどんなに小さくしても、ある自然数 N が存在して、n が n >= N ならば |an - α| < ε となる時、lim(n -> ∞) an = α となる
ε- N 論法は、数列 {an} が極限値 α を取ることを示す厳密な証明方法
s.t. 〜 は「〜のような(such that)」を表す論理記号
1.2: 正項級数とダランベールの判定法
an > 0 (n = 1, 2, ...) の数列の無限和、すなわち無限正項級数 Σan の収束、発散について考える
単に正項級数とも言う
高校数学でも無限級数(数列の無限和)についてはすでに勉強しているが、きれいに和が求まるパターンは限られている
ダランベールの判定法
正項級数の収束・発散を判定できる
正項級数
Σ(n=1 to ∞) an
について、lim(n -> ∞) an+1 / an = r の時(r は ∞ でも構わない)、1: 0 <= r < 1 ならば
Σ(n=1 to ∞) an
は収束し2: 1 < r ならば
Σ(n=1 to ∞) an
は発散する※ r = 1 の時は、収束するか発散するか、これだけでは判定できない
1.3: 三角関数と逆三角関数
有理整関数(n 次関数)
y = a0 * x^n + a1 * x^n-1 + ... + an-1 * x + an
(n: 自然数)y = (a0 * x^n + a1 * x^n-1 + ... + an-1 * x + an) / (b0 * x^m + b1 * x^m-1 + ... + bm-1 * x + bm)
(m, n: 自然数)
三角関数の公式(p25)
偶関数と奇関数
偶関数 y = f(x)
定義: f(-x) = f(x)
y 軸に関して対称なグラフになる
y = cosx など
奇関数 y = f(x)
定義: f(-x) = -f(x)
原点に関して対称なグラフになる
y = sinx など
1 対 1 対応の関数には逆関数がある
逆関数の求め方
y = f(x) の x と y を入れ替え、x = f(y)
これを y = f^-1(x) の形に変形する
y = f(x) と y = f^-1(x) は、直線 y = x に関して対称なグラフになる
逆三角関数
y = sin-1 x は逆正弦関数
アークサイン x と読む。arcsinx と表記してもよい
x = siny を変形したもの
y = cos-1 x は逆余弦関数
cos-1 x != 1/cosx なので注意
y = tan-1 x は逆正接関数
tan-1 x != 1/tanx なので注意
1/sinx = cosecx コセカント x と読む
1/cosx = secx セカント x と読む
1/tanx = cotx コタンジェント x と読む
1.4: 指数・対数関数と双曲線関数
ネイピア数 e
lim(n -> ∞) (1 + 1/x)^x = e
となるy = e^x は x = 0 の時の接線の傾きが 1 となる
指数関数: y = a^x
指数関数の逆関数が対数関数
対数関数: y = loga x
底 e の対数関数 y = loge x を自然対数関数と呼ぶ
オイラーの公式
e^(iθ) = cosθ + i*sinθ
参考
テイラー展開
与えられた関数をある点の近くで多項式に近似するために用いられるもの(複雑な関数を多項式で表せる)
f(x) = f(a) + f'(a)(x - a) + 1/2! * f''(a)(x - a)^2 + 1/3! * f'''(a)(x - a)^3 + ...
1 点の情報から近所のことを知れる
マクローリン展開
特に a = 0 でテイラー展開する場合、マクローリン展開という
f(x) = f(0) + f'(0) * x + 1/2! * f''(0) * x^2 + 1/3! * f'''(0) * x^3 + ...
双曲線関数
cosh x = (e^x + e^-x) / 2 (ハイパボリック・コサイン x と読む)
sinh x = (e^x - e^-x) / 2 (ハイパボリック・サイン x と読む)
tanh x = (e^x - e^-x) / (e^x + e^-x) (ハイパボリック・タンジェント x と読む)
双曲線関数にも加法定理がある(p38)
陽関数と陰関数
陽関数: y = f(x) という形で表した関数
陰関数: F(x,y) = 0 という形で表現した関係
極方程式
平面上の曲線が、極座標 (r, θ) を用いた式 r = f(θ) または F(r, θ) = 0 で表される時、この方程式をその曲線の極方程式という
1.5: 関数の極限と ε-δ 論法
ε-δ 論法
ε- N 論法は連続的に値が変化する数列の極限を扱った、こちらは連続的に値が変化する関数の極限を扱う
1: 任意の ε > 0, ある δ > 0 s.t. x > δ => |f(x) - P| < ε この時 lim(x -> ∞) f(x) = P となる
2: 任意の ε > 0, ある δ > 0 s.t. x < δ => |f(x) - P| < ε この時 lim(x -> -∞) f(x) = P となる
3: 任意の ε > 0, ある δ > 0 s.t. 0 < |x - a| < δ => |f(x) - P| < ε この時 lim(x -> a) f(x) = P となる
4: 任意の ε > 0, ある δ > 0 s.t. 0 < |x - a| < δ => |f(x) - f(a)| < ε この時 lim(x -> a) f(x) = f(a) となって、f(x) は x = a で連続である
関数の連続性
x = a の点とその付近で定義されている関数 y = f(x) が lim(x -> a) f(x) = f(a) を満たす時、f(x) は x = a で連続である
三角関数の極限公式
lim(x -> 0) sinx / x = 1
lim(x -> 0) tanx / x = 1
lim(x -> 0) (1 - cosx) / x^2 = 1 / 2
2: 微分法とその応用(1 変数関数)
2.1: 微分係数と導関数
指数・対数関数の極限公式
lim(x -> 0) (e^x - 1) / x = 1
lim(x -> 0) log(1 + x) / x = 1
lim(x -> 0) (1 + x)^1/x = e
lim(x -> 0) (1 + 1/x)^x = e
三角関数の和積の公式、積和の公式
2.2: 微分計算
{f(x)・g(x)}' = f'(x)・g(x) + f(x)・g'(x)
{f(x)/g(x)}' = {f'(x)・g(x) - f(x)・g'(x)} / {g'(x)}^2
y' = dy/dx = dy/dt・dx/dt
2.3: ロピタルの定理と関数の極限
最大値・最小値の定理
関数 f(x) が、閉区間 [a, b] で連続の時、f(x) が最大値 M をとる x と、最小値 m をとる x が、この区間内にそれぞれ少なくとも 1 つは存在する
ロルの定理
関数 f(x) が、閉区間 [a, b] で連続かつ開区間 (a, b) で微分可能、さらに f(a) = f(b) である時、f'(c) = 0 (a < c < b) を満たす c が少なくとも 1 つ存在する
平均値の定理
関数 f(x) が、閉区間 [a, b] で連続、かつ開区間 (a, b) で微分可能である時、f(b) - f(a) / b - a = f'(c) を満たす c が少なくとも 1 つ存在する
コーシーの平均値の定理
2 つの関数 f(x), g(x) が [a, b] で連続、(a, b) で微分可能、さらに g(x) が (a, b) で g'(x) != 0 かつ g(a) != g(b) とする。この時、f(b) - f(a) / g(b) - g(a) = f'(c) / g'(c) (a < c < b) を満たす c が、少なくとも 1 つ存在する
ロピタルの定理
1: f(x), g(x) は x = a の付近で微分可能で、f(a) = g(a) = 0 とする。この時、lim(x->a) f(x)/g(x) = lim(x->a) f'(x)/g'(x) が成り立つ
2: f(x), g(x) は x = a を除く x = a の付近で微分可能で、lim(x->a) f(x) = lim(x->a) g(x) = ±∞ とする。この時、lim(x->a) f(x)/g(x) = lim(x->a) f'(x)/g'(x) が成り立つ。(ここで a は ±∞ でも構わない)
2.4: 微分法と関数のグラフ
関数の増減・凹凸とグラフの概形
2.5: テイラー展開・マクローリン展開
1.4 でも書いたが、こちらで正式に扱う
テイラーの定理
関数 f(x) が、閉区間 [a, b] で連続、開区間 (a, b) において n + 1 回微分可能のとき、ある c (a< c < b) が存在して、次式が成り立つ
f(b) = f(a) + f'(a)/1!・(b - a) + f''(a)/2!・(b - a)^2 + ... + f(n)(a)/n!・(b - a)^n + Rn+1
ただし Rn+1 = f(n+1)(c)/(n + 1)!・(b - a)^n+1。これは「ラグランジュの剰余項」と呼ばれる
テイラー展開
関数 f(x) が x = a を含むある区間で何回でも微分可能であり、かつ lim(n->∞) Rn+1 = 0 の時、f(x) は次のように表される
f(x) = f(a) + f'(a)/1!・(x - a) + f''(a)/2!・(x - a)^2 + ... + f(n)(a)/n!・(x - a)^n + ...
マクローリン展開(テイラー展開の a が a = 0 の特殊な場合)
関数 f(x) が x = 0 を含むある区間で何回でも微分可能であり、かつ lim(n->∞) Rn+1 = 0 の時、f(x) は次のように表される
f(x) = f(0) + f'(0)/1!・x + f''(0)/2!・x^2 + ... + f(n)(0)/n!・x^n + ...
収束半径
テイラー展開やマクローリン展開が可能なのは、ラグランジュの剰余項 Rn+1 が lim(n->∞) Rn+1 = 0 となる時だけ
これが成り立つ x の取りうる値の範囲は |x| < R で表され、この R を「収束半径」と呼ぶ
ダランベールの収束半径
R = lim(n->∞) |an / an+1| となる時、この R を「ダランベールの収束半径」と呼び、x が |x| < R の時、右辺のべき級数は収束する
3: 積分法とその応用(1 変数関数)
3.1: 不定積分
F'(x) = f(x) を満たす関数 F(x) を f(x) の「原始関数」と呼ぶ
原始関数の 1 つを F(x) とおき、これに「積分定数」と呼ぶ定数 C を加えたものを、f(x) の「不定積分」F(x) + C と定める
f(x) を「被積分関数」と呼ぶ
不定積分の定義
f(x) の原始関数の 1 つを F(x) とおくとき、f(x) の不定積分を ∫f(x) dx で表し、これを次のように定義する
∫f(x) dx = F(x) + C
f(x): 被積分関数、F(x): 原始関数、C: 積分定数
積分計算の応用公式
∫1/(a^2 + x^2) dx = 1/a・tan-1(x/a) (a != 0)
∫1/(a^2 - x^2)^1/2 dx = sin-1(x/a) (-a < x < a)
∫1/(x^2 + α)^1/2 dx = log|x + (x^2 + α)^1/2| (α != 0) (x^2 + α > 0)
∫(x^2 + α)^1/2 dx = 1/2・(x・(x^2 + α)^1/2 + α・log|x + (x^2 + α)^1/2|) (x^2 + α >= 0)
置換積分の公式
∫f(g(x))・g'(x) dx = ∫f(t) dt
3.2: 定積分
定積分の定義
閉区間 [a, b] において、関数 f(x) の原始関数 F(x) が存在するとき、定積分を次のように定義する
∫(a->b) f(x) dx = F(x) = F(b) - F(a)
ウォリスの公式
[ウォリス(ワリス)の公式:積分 (sinx)^n (cosx)^n](http://w3e.kanazawa-it.ac.jp/math/category/sekibun/example/henkan-tex.cgi?target=/math/category/sekibun/example/int-(sinx)%5En.html)
リーマン和による定積分の定義(p133)
一般には [a, b] で有界かつ、連続な関数であればよい(不連続な点があっても有界な関数であればよい)
3.3: 定積分のさまざまな応用
広義積分の定義
区間[a, b) で連続な関数 f(x) について、lim(c->b-0)∫(a->c) f(x) dx が極限値を持つ時、それを広義積分 ∫(a->b) f(x) dx と定義する
区間 (a, b]で連続な関数 f(x) について、lim(c->a+0)∫(c->b) f(x) dx が極限値を持つ時、それを広義積分 ∫(a->b) f(x) dx と定義する
無限積分の定義
区間 (-∞, ∞) で定義される関数 f(x) について
1: lim(p->-∞)∫(p->b) f(x) dx が極限値を持つ時、それを無限積分 ∫(-∞->b) f(x) dx と定義する
2: lim(q->∞)∫(a->q) f(x) dx が極限値を持つ時、それを無限積分 ∫(a->∞) f(x) dx と定義する
曲線の長さの公式(p146)
微分可能な曲線 y = f(x) の区間 [a, b] における曲線の長さ L は L = ∫(a->b) (1 + f'(x)^2)^1/2 dx
4: 2 変数関数の微分
4.1: 2 変数関数と偏微分
2 変数関数の微分には「偏微分」と「全微分」の 2 つがある
一般に z = f(x, y) は曲面を表す
ε-δ 論法による 2 変数関数の極限
動点 P(x, y)、定点 A(a, b) に対して、任意の ε > 0, ある δ > 0 s.t. 0 < |AP->| < δ => |f(x, y) - c| < ε この時 lim((x,y) -> (a, b)) f(x, y) = c となる
偏微分係数 fx(a, b)、fy(a, b) の意味(p163)
fx(a, b) の図形的意味
局面 z = f(x, y) と平面 y = b とでできる曲線 z = f(x, b) に x = a における接線が存在するとき「x に関して偏微分可能」という
その接線の傾きを「x に関する偏微分係数」と呼び、fx(a, b) や ∂f(a, b)/∂x などと表す
∂は「ラウンド」と読む
参考: 偏微分の意味
偏微分とは、多変数関数を「特定の文字以外定数だとみなして」微分したもののこと
2 つの偏微分係数の定義
fx(a,b) = ∂f(a,b) / ∂x = lim(x->a) {f(x,b) - f(a,b)} / (x - a)
上記の右辺の極限が有限な値に収束する時、関数 f(x, y) は点 (a, b) で「x に関して偏微分可能」といい、その極限値を「x に関する偏微分係数」と呼び、fx(a, b) や ∂f(a, b)/∂x などと表す
4.2: 偏微分の計算と高階偏導関数
偏微分の線形性
高階偏導関数の表記法(p170)
シュワルツの定理
fxy と fyx が共に連続ならば、fxy = fyx が成り立つ
4.3: 接平面と全微分
全微分可能の定義
2 変数関数 z = f(x, y) が、点 (x1, y1) で偏微分可能な時、Δz = fx(x1, y1)・Δx + fy(x1, y1)・Δy + ε(x1, y1) に対して、lim((Δx,Δy)->(0,0)) ε(x1,y1) / ((Δx)^2 + (Δy)^2)^1/2 = 0 が成り立つならば、2 変数関数 f(x, y) は、点 (x1, y1) において「全微分可能」という
接平面の方程式
2 変数関数 z = f(x, y) が、点 (x1, y1) で全微分可能のとき、曲面上の点 A(x1, y1, z1) における接平面の方程式は次式で表される
z - z1 = fx(x1, y1)・(x - x1) + fy(x1, y1)・(y - y1)
全微分の定義
2 変数関数 z = f(x, y) が点 (x1, y1) で全微分可能のとき、dz = fx(x1, y1)dx + fy(x1, y1)dy が成り立ち、これを点 (x1, y1) における f(x, y) の「全微分」という
4.4: テイラー展開と極値
2 変数関数のマクローリン展開
点(a, b) で極値を取るならば、fx(a, b) = 0 かつ fy(a, b) = 0 となる
しかし、逆は成り立たない。極大点でも極小点でもない「鞍点」が存在するため
2 変数関数の極値の決定法(p189)
ラグランジュの未定乗数法(p191)
5: 2 変数関数の重積分
5.1: 重積分
領域 D における重積分の定義(p201)
重積分が存在するための関数 z = f(x, y) の条件は、領域 D 内でこれが連続かつ有界であればいい
重積分を計算する場合、x と y に順序を付けて積分する。これを「累次積分」という
「y で積分した後、x で積分する」または「x で積分した後、y で積分する」
5.2: 変数変換による重積分
ヤコビアン(p214)
参考: 三角形の面積のベクトル表示と成分表示
5.3: 曲面の面積
a と b の外積 a × b
2 つの 3 次元ベクトル a = [a1, a2, a3], b = [b1, b2, b3] について
1: 外積 a × b は次のようになる
a × b = [a2b3 - a3b2, a3b1 - a1b3, a1b2 - a2b1]
2: a と b を 2 辺とする平行四辺形の面積を S とおくと、これは外積のノルム ||a × b|| と等しいので、次式で計算できる
S = ||a × b|| = {(a2b3 - a3b2)^2 + (a3b1 - a1b3)^2 + (a1b2 - a2b1)^2}^1/2
Last updated